大腸がんについて

罹患数ワースト1位は大腸がん

日本人のがん罹患数ワースト1位は「大腸がん」です(※1)。早期発見できればかなり高い確率で治すことができるのですが、初期段階では痛みなどもなく自分では気が付きにくい。そのため、発見されたときにはすでに進行している場合が多いのです。

男女ともに40~50歳で発覚することが多いのですが、きっかけは「検便」です。検便の結果、便に血が混ざっていることが分かり内視鏡検査で詳しく見てみると大腸がんだった、というケースがあります。

便に血が混ざっているのは、腸内で出血が起きているからです。つまり、その時点ですでに重症化している可能性が高い。治療が大変なだけでなく、最悪の場合は命を落とす危険があります。もっと早い段階で発見できれば体に負担が少ない治療を選択でき、その後の経過も良好になります。

小さいポリープは検査中に処置

内視鏡検査の最中に大腸の壁面に小さなポリープが見つかるときがあります。1ミリ以下の小さい状態であればそのまま何も悪さをしない場合もありますので、切除する必要なく年に一度くらいの検査で経過を見ていれば心配はありません。

内視鏡の内部に細いワイヤーを通します(写真)内視鏡の内部に細いワイヤーを通します

数ミリ程度の小さなポリープであれば、検査中に内視鏡の先端にワイヤーを通し、わっか状にしてポリープをつまんで除去できます。少し出血がありますが、手や足など肌の切り傷と同じように時間が経てば自然と傷がふさがります。

(写真)内視鏡の先端から出たワイヤーでわっかをつくり、小さなポリープをつまんで除去できます

もしも、検査を受けることなく小さなポリープにも気が付かず、数年間、放置されたとします。すると、そのポリープはやがて巨大化し悪性の腫瘍になったりがんになったりと重大な病になるリスクをはらんでいます。小さいうちであれば、検査中に簡単に処置できるものも、大きくなってしまっては手が着けられなくなってしまうのです。

1センチを超える大きなポリープの場合は、入院をして切り取るする必要があります。ポリープががん細胞を含んでいる可能性があるのでがんを含めて切除するためです。体に負担をかけない選択をするためには、今の時点で不安な要素があれば一度、検査をして腸内の状態を知っておくことが肝心です。

大腸がんチェック

こちらのチェック項目を見て、疑わしい症状があるときは下部内視鏡検査を受けてみてください。

□便にどろっとした粘液が混ざる
□便に黒っぽいものが混じる
□お腹に違和感がある
□血便が生じるときがある
□家族に大腸がんになった方がいる
□便が細くなる
□ぽろぽろとした小さい便が多くでる
□排便したのに便が残っている感じがする

「おしりから管を入れるなんて考えられない!」
よく分かります。しかし、検査中は眠っているので痛さや辛さを感じることはありません。事前に検査用の使い捨てハーフパンツに着替えていただき、ブランケットで体を包んでいるので安心してくださいね。

※1:ワースト1位・・・・・・国立がん研究センター「がん情報サービス」より
2017年のがん罹患数が多い部位
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄