便秘の症状について

ウンチが出ない。どこからが便秘?

便秘とは、便が腸の中で止まって体の外に排出されないことです。回数が減ったり、便が残っている感覚がある状態も便秘だと言えます。この状態が続くと、お腹が張って苦しくなったり食欲が落ちたり、もっとひどいときには吐き気が起きるときもあります。

排便の回数は人によって違います。一日1回で快調な人もいれば、一日に3回が常だという人もいます。人と比べる必要はありません。過去の自分のリズムと比べてみて「排便の回数が減っている」もしくは「いつもより日数が空いている」という場合は便秘の疑いがあります。

便秘解消に抜け道はない!

便秘は、大腸がうまく働いていないことが原因で起こります。運動不足や極端なダイエット、食物繊維の不足によって大腸の運動機能が低下したり、精神的なストレスによって大腸が緊張状態に陥ったり、いずれにしても大腸が機能不全を起こしている状態です。

便秘の度に市販の下剤を服用している方もいますが、私はあまりおすすめしません。市販の下剤は刺激性のものが多く、体が慣れてくるとだんだんと効かなくなるからです。それに、刺激性の下剤で解消できるのは直腸に残っている便だけです。直腸の手前にある「S状結腸」に溜まっている便は下剤を飲んでも排出されません。

もちろん、クリニックでも治療に下剤を使うことはありますが、便秘を引き起こす原因となっているのは何なのか。その原因を突き止めて、患者さん自身が日々の生活で改善していくことを推奨しています。

新しい習慣のハードルは低く

具体的には、生活習慣と食習慣の見直しです。まずはこの3つから取り組んでみましょう。

1)食物繊維を摂ること
2)適度な運動をすること
3)便意があるときにはガマンせずにトイレに行くこと

すでに知っていることばかりかもしれませんが、これを日常生活で意識するかしないかの差は大違いです。私は晴れた日には家から職場まで歩いています。3㎞ほどの距離ですし、雨の日は車に乗りますが、これくらいゆるやかな習慣でも十分に体に良い影響があります。まずは「これくらいならできそう」と思えることから始めてみましょう。

体のサインを見逃さないで

慢性的に便秘に悩んでいる方は「いつものことだから」とガマンをしていることがあります。お腹に痛みを感じ始めて数日経っているのに「ガマンできそうだったから」と来院をためらっている方も少なくありません。しかし、この「いつものことだから」が要注意です。

「ただの便秘」のはずがポリープが原因かもしれないし、放っておくと大腸がんなど深刻な病気につながるリスクが高まります。いつもと違う不調や痛みを感じたときにはガマンせずにすぐにご相談くださいね。不調や痛みは体が発しているサインですから。

監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄