知っておくべき食道がんのリスク

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食道がんとは

がんに罹患する確率は男性が65.5%、女性が50.2%。つまり2人に1人はがんのリスクを背負っています。「がん」と言っても体の部位によって要因や治療が異なりますのでここでは「内視鏡検査」で早期発見・治療ができるがんについて解説します。

全国で年間約2万人(※1)。罹患率はそれほど高いわけではないけれど、一度かかってしまうと厳しい治療が待っている。そのうえ、一生付き合わざるを得ない。それが「食道がん」です。

食道とはのど(咽頭)から胃の入口までをつなぐ長さ約25センチのくだ状の臓器です。
大部分は胸の中にありますが(約20センチ)、一部は首(約3センチ)と腹部(約2センチ)にもあります。早期発見であれば内視鏡による治療ができます。一方、進行がんの場合は放射線・抗がん剤・手術と、体にかかる負担が大きいものばかりです。

がんは食道の内面をおおっている粘膜から発生します。そして、大きくなると粘膜を超え、粘膜下層やさらに筋肉の層まで入り込みます。最終的には食道の壁を貫き食道の外まで拡がってしまうのです。食道の周りには気管・気管支や肺、大動脈、心臓などの臓器があり、食道壁の外にまでがんが進行するとこれらの重要な臓器までも脅かします。

お酒とタバコで罹患率が190倍!

食道がんの原因は「お酒」と「タバコ」です。お酒を飲むことでリスクは56倍に、そしてタバコが合わさると190倍にもリスクが高まります。お酒の飲み過ぎやタバコの吸い過ぎによって食道が炎症を起こすのです。

特に注意が必要なのは、お酒を飲むと顔が真っ赤になる人です。この体質の方はアルコールを分解する酵素をそれほど持ち合わせていません。「お酒は一切飲めません」という人は口にすらしないので心配ないのですが、「若い頃は飲めなかったけど、酒席に慣れて飲めるようになった」「年を重ねてお酒に強くなった」という方は要注意です。

お酒を飲むと顔が真っ赤になる。これが一つのサインです。体の中でアルコールを分解できないのに飲み過ぎている証です。食道がんだけでなく、咽頭がん、喉頭がんといった病にもつながりやすいので心当たりがある方は早めに検査をしましょう。

重症化を回避できるのが内視鏡検査

食道がんは自覚症状がほとんどありません。胸焼けや、食べ物を飲み込むときにのどに染みるといったことはありますが、それほど激しい痛みを伴わないのです。健康診断で異常が出たり自分で異変に気付いたりすることは稀で、早期発見の場合は内視鏡検査でたまたま見つかったというケースがほとんどです。

食道がんの原因はお酒とタバコ。これははっきりしています。今すぐにお酒やタバコをやめられなくても、まずは内視鏡検査をして現状を自分の目で見るだけでも違います。お酒とタバコ、どちらも習慣化している方は一度、内視鏡検査にいらしてください。10~15分程度の検査が、人生の晩年期の過ごし方を変えてくれるはずです。

※1
最新の「がん罹患数予測(2019年)」によると日本で食道がんになるのは21900人だと予測されています。
〈参考〉国立がん研究センター「がん罹患数予測(2019年)」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html

〈参考〉日本食道学会
https://www.esophagus.jp/public/cancer/about_esophagus.html

監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄